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飼料用米を養豚でどう利用するか?

はじめに

日本では現在、トウモロコシなど濃厚飼料の自給率は10%で、年間1400万t程度が輸入されています。これに対し、人の食べる食用米は、約160万haに栽培され、年間800万tが生産されています。家畜に飼料として与える穀物を、人間が食べるコメの倍近くも輸入しているという事実に今さらながら驚かされます。

過去10年ほどの間に、飼料の自給率向上に向けた政策の下で、飼料用米の利活用が進められてきました。全体としてはわずかな量ですが、昨年まで年々、飼料用米の作付面積は急激に伸びてきました。ただ、その伸びは政府のテコ入れ、即ち補助金による誘導によるところが大きく、こうした助成制度なしでは事業として成立しがたいのが現状です。自民党政権に戻り、10a当たり8万円出ていた補助金が打ち切りになるのではと心配されましたが、逆に、減反政策を廃止するという政府の重大な政策転換に伴い、減反奨励金を半減し、いずれなくす一方で、飼料用米を水田を維持しながら食用米からの作付転換の目玉として位置づけ、収量に応じて最大で10a当たり10万5000円まで補助するということになりました。今後、飼料用米のはけ口として、養豚、畜産業の貢献が期待されることになります。そのなかで、うまく飼料用米を利用するのに必要となる機材面の対応について、自家配施設・設備のお手伝いをしてきた経験を踏まえて以下に述べてみたいと思います。

飼料用米利用の先駆者がぶつかってきた障害

上記のとおり、既に過去10年足らずの間に、コメを飼料原料として利用する取組が、先駆的に行われてきました。コメを飼料として利用するには、それなりの加工が必要ですが、そのためのインフラが整備されていないなかで、典型的なところでは、内陸で生産された飼料用米を、飼料工場の立地する海浜部まで運び、粉砕加工して、内陸地域の畜産農家に運び込む、という無駄が生じてきました。今後、こうした課題もクリアされていくことになると思いますが、これまでに先駆者が経験してきた問題をいくつか指摘したいと思います。

①流通上の問題

2008年に飼料穀物が高騰したのをきっかけに、コメの飼料化が進むことになりましたが、水田で栽培されたコメを飼料として利用される体制は整っていません。そのため、主にその流通上の条件から、地域によって飼料用米の価格が大きく異なるということが大きな問題です。補助金なしには一般的には考えられない飼料用米ですが、それを前提としたなかでも、トウモロコシの相場で変動に伴い、飼料用米が同等もしくは安くなければ利用は進みません。飼料用米を使用することで製品(肉)を高く販売することは簡単でなく、有利に利用するには一定の規模が必要となります。
また、飼料原料はアメリカ等から、必要量応じて定期的に継続的に輸送していますが、国内で飼料用米を調達する場合、秋の収穫シーズンに購入が集中し、年間の使用分をどこかに保管しながら使うことになります。当然、その分のコストが生じます。
今後、政策的にコメの飼料利用を拡大するには、地産地消をベースに、流通の輸送コストがかからないよう、飼料用米の産地と養豚産地の距離を縮める工夫が必要と考えます。何と言っても、アメリカから日本にトウモロコシを運ぶ運賃よりも、国内の横もち運賃のほうが高い国ですから。

②加工・配合の問題

コメを飼料として使用するには、モミで使うにせよ、玄米や白米で使うにせよ、飼料用に粉砕して配合する必要があります。それに対応する施設を畜産農家自前でもつのか、何件かの農家が共同でもつのか、飼料メーカーがもつのか、ともかく効率的で低コストで施設を整備する必要があります。
地域によっては、生協等が地域で生産される飼料用米をトウモロコシより高く買っている地域があります。生協は配合飼料価格に転嫁して提携先の畜産農家に販売でるので問題がないのですが、豚を高く買ってもらえない農家にとっては利用できません。同じ地域で生協をやめ、自家配施設を自分で作って自家配合に切り替えた養豚場がありますが、1ヶ月に60tの製造量ですが、月当たり100万円の経済効果が出ているとのことです。

飼料用米を用いた自家配の提案

ひと口に飼料用米と言っても、その利用形体は様々です。従来から丸粒トウモロコシを使った自家配を実践してきたところでは、トウモロコシの何割かをコメに置き換えて、あとは今までどおり自家配で飼料を自家生産することが多いですが、飼料メーカーに、例えばコメを20%あとから混ぜるという前提の指定配合飼料を供給してもらい、粉砕したコメだけ、自農場で混合するというケースもあります。自家配施設を整備する場合に使える補助金もありますので、地元の県等に相談されるといいでしょう。

①コメだけ混ぜるケース

今まで完全配合飼料を購入してきた農場にとっては、すべて自家配に切り替えることには躊躇される場合も少なくありません。そこで、私どもに、「コメだけ粉砕して混ぜる施設をつくってほしい」と相談されます。もちろん、そのとおり対応できますが、筆者としては、もう少しえさ全体の話をさせていただき、効率的に生産するうえでのえさの可能性として色々提案もいたします。そうすると、どうせ粉砕機も混合設備を導入するなら、思いきって自家配に転じようと決断されるところもあります。あとで紹介する青森県と福岡県宗像市の農場は、このケースです。
これに対して、最初から完全に自家配転換するケースもあります。福岡県糸島の農場はそうしたケースです。

②モミを使う

熊本県菊池市の農場、福岡県宗像市の農場では、モミの状態の飼料用米を、脱穀せずにモミのまま、ディスクミールで粉砕して配合使用しています。モミを粉砕する場合には、粉砕機のほかに回転式の篩(ふるい)も必要となります。玄米を使用する場合に比べて、消化率等、栄養面での違いは当然出てきますが、加工経費とのバランスでは、モミで使うことも十分可能だと考えます。栄養面については、ここでは触れません。

③玄米を使う

長崎県島原市の農場では、入手した玄米をディスクミールで粉砕して配合使用しています。なかには、飼料メーカーで粉砕してもらった玄米を農場まで運んでもらい、自家配している農場もあります。また、精米された白米で流通しているミニマムアクセス米を使う場合には、ディスクミールで粉砕して配合使用しています。

飼料用の専用種と食用米の違い

これまで、飼料用米とは言いながらも、実際には食用米を作付けしながら、価格等の条件によって飼料用に仕向けられたケースがほとんどでした。しかし今後は、政策転換に伴って、より効率的に高収量を得られる専用種の生産が行われるようになると予想されます。
写真▼、■は、熊本県益城町でつくっている飼料用米の専用種です、タイ米のような細長い形をしています、専用種をつくれば、収量が増えるほか、形状の違いにより食用への横流し防止につながり、煩雑な事務手続きも軽減されるでしょう。
この町のA農家は、15年前に益城町で初めて法人化した稲作農家です、乾燥施設や大型のコンバイン等が揃っています、益城町は農地の基盤整理ができていて大型の機械が使用できます。

写真▼ 熊本県益城町で耕作されている専用種の飼料用米

写真■ 刈り取られる前の飼料用米の専用種

新開発のデンマーク製“粉砕機”

これまで、丸粒トウモロコシを利用する自家配農家では、原料トウモロコシの粉砕に、米国Davis社の「Davis200A-2」という粉砕機が主に使われてきました。粉砕機には主にハンマーミール方式と、ローラーミール方式がありますが、Davisの製品はローラーミール方式で、小規模の自家配に役立ってきました。ところが、飼料原料の高騰に伴い、同じトウモロコシの消化率を上げる研究や取組が進むなかで、粉砕粒度をより細かくすることに関心が高まってきたことを受け、従来はベストとされてきた700ミクロンが限界であるDavisから、他の機種が求められるようになってきました。
そうしたなかで最近、注目されてきたのが、デンマーク製の「ディスクミールSK5000」という製品です。この製品の登場により、Davisの時代は終わったと言ってよいでしょう。
「ディスクミール」とは、要するに“石臼”の構造で穀類をすりつぶす装置です。この構造自体はDavisと同じローラーミール方式ですが、これを使うと、非常に細かく、粒度のバラツキも少なく粉砕することが可能で、飼料用米は籾ごとでも粉砕できます。九州では、過去にDavisを導入した自家配農場で、ディスクミールに粉砕機を交換するところが増えています。
粒度の問題以外の理由として、Davisは約4000t粉砕ごとに機械の心臓部であるローラーの交換が必要で、その交換に60万円程度かかります。熊本のある養豚農場では、ディスクミールを3年前に導入して初めてローラーを交換しましたが、その間、約4万tのトウモロコシを粉砕するのにメンテナンスフリーでした。Davisならば4万t粉砕する間に10回のローラー交換が必要となり、約600万円の費用が必要だったことになります。また、ローラー以外にも、ベルトの断裂やベアリングの損傷等、結構トラブルは多くメンテナンスが大変でした。そういった面からも、ディスクミールはすぐれものです。

写真● デンマークSkiold社の粉砕機「ディスクミールSK5000」を設置した青森の養豚場。20馬力のモーターが付いていて、1時間に5tの穀物を粉砕する

写真● 非常にコンパクトなディスクミールSK5000の設置部分

写真● ディスクミールSK5000の心臓部であるローラーを開いた状態で“石臼”構造が見える。従来のローラーミールに比べて耐久性にすぐれ、故障も少ない。熊本県内の導入農場では、3年間、4万tをメンテナンスフリーで粉砕した

写真● Davis粉砕機のシャフトが折れたローラーを交換しているところ。重さが約100kgあり、作業は大変だった。

実際に設備を導入して利用 している取組事例

青森の飼料米自家配合施設です、正面は50トンの製品タンク2本です。

岩手の飼料米自家配合施設です、製品タンク25トンタンクが3本です。50トンタンクを2本追加予定です。

写真◇ 飼料米自家配合施設を制御している制御盤。
自動で計量して配合タンクおよび製品タンクに搬出するので、これを繰り返して自動で飼料をつくる。全くの無人運転が可能。人間は製品タンクからバルク車に積み込み、農場のタンクに配送するだけ。
タッチパネルから各配合割合を入力。一度入力するとコンピューターに記憶されてどの飼料を何バッチ作れと指示すると、指示された飼料を指示された回数、無人運転で製造する。

写真△ 福岡県糸島市に建設した飼料用米自家配合施設
この農場は大規模経営ではなく、1ヶ月に60tしか作っていないが、1t当たりにつき1.5万円安く出来、出荷日数が20以上早くなったとのこと。1ヶ月に約100万円の経済効果が出たと言う。

福岡県の宗像市の肥育牛農家の飼料米自家配合施設の全景です。

飼料米自家配合施設、福岡県では初めてだそうです、もみ付きの米をディスクミールでもみごと粉砕しています、飼料米専用種のモミロマンと言う飼料米です。

長崎県の島原市での飼料米自家配合施設の写真です、この農場は乾燥機およびコンバインも購入しました40%補助金が出ました、この地域は米はタダですが自分で収穫しなくてはなりません、この年は長崎でこの様な飼料米自家配合施設を5軒作りました。規模は♀150から♀500頭程度です。

CORN TECがカナダから輸入しました空気で送るコンベアーです、昔はバケットコンベアーで上げていましたが、1年に1回しか収穫しない米を上げるのに、この空気コンベアーは最適です。

米を200トンタンクに上げるのに、この空気コンベアーは最適です。1時間に40トン送ります。

飼料用米と飢饉

旧ソ連が崩壊したとき、経済が大混乱するなかで、国内の穀物需要は半減しました。かつての1億2300万tが6000万tに落ち込んだわけですが、それでもロシア国民は生きています。要するに、それまで家畜に食べさせていた穀物が人間の食料に回されたわけで、穀物を家畜に与えず人間が食べると、5~10倍の人間が生きられる計算になるのです。日本の江戸時代、天明・天保の大飢饉では大変な数の人が飢えて命を落としました。その違いは、畜産業があったかなかったかです、十二分な穀物を生産して、その余剰部分を消費する畜産が、穀物の需給のクッションとなり、飢饉への備えとなっていたのです。

ほんの十数年前に日本でも、コメが不作で国産米が高騰し、タイ米等を輸入した経緯があります。減反とは本当に不毛な政策であり、消費できない余剰米は米粉や飼料用として消費するのが人間の知恵でした。地震でも津波でも気候でも、人間は自然には勝てないのです。
欧米諸国では、それぞれの地域で取れる穀物を人が食べ、余剰分が家畜・家禽のえさになっています。それが農耕と畜産の自然な関係なのですが、アジア、とくに日本ではそうなっていません。どうしてなのでしょうか。

その理由は大きく2つあって、その1つは、アジアの近代的な畜産が、すべてアメリカから教わったものだからです。アメリカから畜産技術を導入すると同時に、アメリカで家畜の飼料の主役であるトウモロコシが、日本の家畜の飼料になったからです。そこにはアメリカ穀物産業の、輸出促進の狙いもありました。

そしてもう1つの理由は、日本人の倫理観と固定概念に行き着くと思います。倫理観とは、「コメを豚に与えるのはもってのほかだ」という意識です。テレビの水戸黄門のドラマのなかで、コメ俵に座った水戸光圀が老婆に叩かれた場面がありました。光圀は「助さん角さん成敗しなさい」とは言わずい、自分の非を認めて老婆に詫びました。日本では、コメは葵の御紋より偉いのです。しかも、仏教思想の下で肉食が長らくタブー視されてきた国で、「おコメ」を家畜のえさにするのには非常に大きな抵抗があったでしょう。
こうした背景からできあがった、アメリカ一辺倒の畜産、トウモロコシ一辺倒の飼料から脱却するには、国内で生産される主食、即ちコメの飼料としての利用を拡大することが必要です。筆者は、全国で飼料用米自家配合施設をつくっていますが、それは、本当の意味での「メイドインジャパン」の豚肉や牛肉を生産するための取組でもあります。

世界の穀物の平均単収(10a当たり)は約350kgですが、日本の稲作は500~600kgであり、多収量種では800kg、将来的には1tも可能だと言われています。食料用として味を追求するために、あえて収量の少ない品種を選んでいますが、単純にエネルギー源としての穀物をつくろうと思えば、収量を2倍に上げることは可能であり、世界的に見れば3倍の穀物を生産することも可能です。現に、インドでは2t取れる品種ができているそうです。

栄養価の観点から見ても、小麦、トウモロコシ、コメという三大穀物のなかで、飼料用に用いるうえでコメが一番優れています。タンパク含量が抱負でアミノ酸バランスが良く、リジンやリジンを単体原料で調整する必要が基本的にありません。また、生産面においても、トウモロコシや麦は連作ができませんがコメは可能で、100年でも20年でも問題ないとされ、私たちの先祖はそうして水田を維持してきました。

21世紀はデントライスの時代です。日本の畜産が本当の意味で、穀物需給のクッションになって価格弾性値をもつためには、アメリカ産のトウモロコシ一辺倒では駄目です。デントライスによるアジア型畜産を確立する必要があり、そのためには、さらなる規制緩和と、我々自身のコメに対する特別な感情を一蹴する必要があります。

筆者らは、飼料自家配合施設の施工および運転の指導、配合設計等といった仕事を通じで、畜産業のお手伝いをしながら、関連の機材を世界中から輸入しています。その一方で、飼料用米を生産する側の施設整備の仕事も手掛けており、飼料用米の供給者と需要者を結びつける取組も、積極的に関わっていきたいと考えております。関心のある方、飼料用米の利用でお困りの方は、下記までご連絡、ご相談ください。

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